サステナビリティ環境のためにTCFD提言への対応
当社は「人と自然の豊かな未来に貢献する」ことをビジョンに掲げ、気候変動対応を経営における重要課題の一つと位置づけています。
TCFD※が推奨する取り組みを推進するとともに、4つの中核的要素「ガバナンス」「戦略」「リスク管理」「指標及び目標」の情報開示に努めています。
- Task Force on Climate-related Financial Disclosures(気候関連財務情報開示タスクフォース)の略。気候変動が金融市場に重大な影響をもたらすとの認識が主要国の間で広がったことを背景に、各国の中央銀行・金融当局や国際機関が参加する金融安定理事会(Financial Stability Board、FSB)によって2015年に設立された。2017年に公表されたTCFD提言によって、企業等に対して気候関連の情報開示を推奨するとともに、気候変動関連の情報開示の枠組みを提示している。
ガバナンス
サステナビリティに関する方針の策定、計画の立案、取り組みの進捗確認を担う組織としてサステナビリティ委員会を設置し、気候変動に関する対応についても審議しています。同委員会は、社長を委員長とし、常勤取締役や各部門長などから構成され、基本的に年4回開催することとしています。
取締役会は、同委員会から気候変動を含むサステナビリティ課題全般に関する報告を受け、審議・承認を行っています。2021年10月に開催した取締役会では気候変動に関する目標を含む中期経営計画を、2021年12月に開催した取締役会では気候変動に関する取り組みを含むマテリアリティを承認しました。
戦略
2022年に気候変動に関するリスクと機会の洗い出しに着手しました。下記は、2022年6月時点でトーカロ株式会社単体を対象として抽出したリスクと機会、およびその対応策の一覧です。今後、範囲をグループ全体に広げ、財務インパクトの試算などにも取り組み、事業戦略への組み込みを図っていきます。
リスク・機会/対応策
区分 | 種類 | 内容 | 時間軸 | 事業への影響 | 対応策 |
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移行リスク | 政策・規制 | カーボンプライシング制度導入に伴うエネルギー調達費の増加 | 中期~長期 | 中~大 |
再生可能エネルギー
設備
車両
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カーボンプライシングの導入による資材調達費の増加 | 長期 | 中 | 情報収集の強化 | ||
市場 | 石炭火力発電など、化石燃料を使用する設備向けのコーティング需要減少 | 短期~中期 | 中 | 水素・アンモニア・バイオマス等の代替燃料への技術対応 | |
評判 | 気候関連課題への対応不備・開示情報不十分によるステークホルダーからの評判失墜、投資撤退・株価下落、人材獲得機会の喪失 | 短期~中期 | 中 | CO2排出量の管理、開示情報の充実化 | |
ステークホルダーとのコミュニケーション強化 | |||||
開示情報の信頼性向上に向けた第三者保証取得の検討 | |||||
物理リスク | 急性 | 台風、豪雨、落雷、海面上昇などに伴う工場被災、作業中断による回復費用の発生 サプライチェーン分断による工程遅延・コスト増加 |
長期 | 大 | 高潮・高波による浸水リスクの高い海辺に立地する工場の防災計画、移転検討 |
落雷による瞬時停電対策(UPS導入完了、油圧コントロール機械の対策) | |||||
サプライチェーンを含めたBCP対策の強化 | |||||
慢性 | 熱中症や感染症など、従業員の健康被害増加 | 短期~長期 | 中 | 最適な空調による労働環境整備 | |
金属採掘減少による調達困難・価格高騰 | 中期~長期 | 中 | 原材料である金属採掘規制に伴う鉱山変更によるサプライヤーの価格変動の注視 | ||
鉱山変更に伴う品質への影響把握、顧客の品質満足度の追求 | |||||
機会 | 技術 | 気候変動に適応する顧客ニーズ、新規顧客獲得機会の増加による収益拡大 | 短期~長期 | 大 | 顧客のGHG排出削減(水素・アンモニア・バイオマス等の代替燃料、リサイクル設備など)に対応したコーティング技術の開発とPR |
自然エネルギー発電の普及・効率化(風力、水力、地熱、蓄電池など)に対応したコーティング技術の開発とPR | |||||
原材料メーカーで使用するエネルギーが再生可能エネルギーに置き換わった場合、顧客へスコープ3のGHG排出ゼロコーティングの供給が可能であることのアピール | |||||
評判 | コーティングが省エネ、GHG排出低減に結びつく技術であることの理解促進が進むことによる受注機会の増加 | 短期~長期 | 大 | 溶射コーティングのリーディングカンパニーであることの積極的なPR | |
短期:5年以内 中期:2030年 長期:2050年 |
リスク管理
気候変動に関するリスクを経営における重要リスクの一つと位置付け、各部門においてその管理に取り組んでいます。また、サステナビリティ委員会がリスク管理の状況を横断的に監視しています。取締役会では、こうした監視結果等の報告を受けて全社的な対応策を検討・決定しています。
指標及び目標
トーカロ株式会社単体の使用するエネルギーには、化石燃料由来の一次エネルギーである灯油、軽油、LPGおよび都市ガスと、二次エネルギーである電気が含まれます。CO2換算すると、電気および灯油によるものがそれぞれ92.55%、3.22%で、全体の95.77%にあたり、その2つでCO2排出量のほとんどを占めています。
当社単体のスコープ1および2の2030年度の温室効果ガスの削減目標として、「2013年度比46パーセント減(54%以下に抑える)」と設定しています。今後、CO2排出量の測定範囲拡大、長期的な目標設定、スコープ3への拡大などに取り組んでいきます。
また、その他の対応策についても目標を定めて推進していきます。
