当社グループを取り巻く事業環境は、資源価格の高騰や地政学リスクの高まりなど、不確実性の高い状況が続いております。当社グループは逆風の中にあっても、中期経営計画に基づく取り組みを着実に推進し、2026年3月期は売上高および経常利益ともに過去最高を更新いたしました。今後、新たな中期経営計画のもと、企業価値のさらなる向上に邁進してまいります。つきましては、2026年3月期の業績および今後の経営の方向性についてご説明申しあげます。

2026年3月期の振り返り

2026年3月期は、資源価格の高騰や地政学リスクの高まりなど、外部環境の変化が継続する中での経営となりました。しかし、当社グループ全体として、半導体分野および一般産業分野の双方において需要を着実に取り込んだことで、売上高および経常利益ともに中期経営計画で掲げた目標を達成いたしました。

トーカロ単体としては前年度比で増収増益となり、海外子会社においても半導体関連、鉄鋼関連の受注が好調であったことから、結果として2026年3月期は、当社の連結業績は売上高584億円、経常利益147億円と過去最高を更新いたしました。株主の皆さまへの還元につきましては、2026年3月期の年間配当は85円とする予定であり、株主総会の決議を経て実施することとしております。

なお、2026年3月期で終了しました中期経営計画「TOCALO2025」につきましては、生産効率の向上や技術開発体制の強化、グローバル展開の推進などを継続的に取り組んでまいりました。これらの施策により、売上高および経常利益ともに最終年度の計画を一年前倒しで達成するなど、一定の成果を上げることができました。一方で、新規事業領域の収益貢献、省人化の推進による生産性の向上、グローバルリスク管理体制の強化など、今後に向けた課題が明確になりました。

新・中期経営計画について

今年度より、新・中期経営計画「TOCALO2030」をスタートいたしました。本計画では、2031年3月期に連結売上高900億円、経常利益200億円、経常利益率22%以上、ROE15%の安定的な達成を目標としております。これらの目標は、半導体・FPD分野を中心とした成長を確実に取り込むとともに、一般産業分野の拡大や新技術の開発、新事業領域の開拓を通じて実現を目指すものです。

半導体分野は、生成AIやデータセンターの拡大などを背景に中長期的な成長が見込まれており、当社にとって重要な成長ドライバーであると認識しております。今後も、半導体分野の成長継続が見込まれる一方で、環境・エネルギー分野や産業機械分野などにおいて新たな収益の柱を育成し、景気変動に左右されにくい強固な収益基盤の構築を進めてまいります。中でも、鉄鋼やエネルギー分野で新たな需要が拡大しており、受注に向けた取り組みを強化しています。

成長を支える設備投資については、5年間で400億円から600億円規模を計画しております。半導体・FPD分野における生産能力の増強、一般産業分野での新規用途開拓、海外市場における事業拡大などに重点的に経営資源を配分し、持続的な成長を実現してまいります。今後、コア事業の深化、戦略的事業領域の拡大、持続的成長を支える経営基盤の強化という三つの柱を軸に、技術力・品質・サービスの高度化を進め、当社の競争優位性を一層高めていく方針です。

2027年3月期の見通し

2027年3月期の見通しにつきましては、これまで以上に不確実性の高い経営環境が続くものと認識しております。資材やエネルギー価格の高騰に加え、レアメタルや石油製品などの調達リスクの顕在化など、複数の不安定要因が事業に影響をおよぼす可能性があります。一方で、需要面においては、AI関連が牽引し、半導体分野を中心に急増する見通しです。半導体分野以外でも、これまで遅れていた需要が一斉に顕在化すると見込まれることから、当社は強みである最先端の溶射技術と営業における情報収集力を発揮することで、産業別の需要動向を的確に捉え、業績向上につなげてまいります。

また、利益面においては、経常利益率22.0%以上の維持を重要な経営指標として掲げ、コスト管理の徹底と付加価値の向上を通じて、収益性の確保に取り組んでまいります。また、資本コストおよび株価を意識した経営に注力することで、事業戦略と投資戦略の融合を通じて、ROE15%を安定的に達成できる事業構造を目指すとともに、株主価値および企業価値の最大化を追求してまいります。株主還元につきましては、今後も安定的かつ継続的な配当を基本とし、連結配当性向50%程度およびDOE(純資産配当率)5%以上を目安とした還元を実施してまいります。また、自己株式の取得についても、事業環境や財務状況を踏まえ機動的に検討してまいります。

 

当社はこれまで、技術力と品質を基盤として顧客との信頼関係を築いてまいりました。「TOCALO2030」の策定にともない、新たにミッションとして「すべてのステーク ホルダーから、信頼していただける会社であり続けること」を定めました。今後、このミッションのもとで、変化の激しい事業環境の中においても持続的な成長を実現し、企業価値の向上に努めてまいります。株主の皆さまにおかれましては、引き続きご理解とご支援を賜りますようお願い申しあげます。

トーカロ株式会社 代表取締役 社長執行役員 小林 和也

代表取締役 社長執行役員
小林 和也